お預かりした時計は、オメガ シーマスター Ref. 14390-2SC、いわゆる30mmキャリパーでムーブメントは手巻きCal.285が搭載されています。オメガ社1848年の創業からちょうど100周年を迎えた1948年に誕生したのが初代シーマスターです。Cal. 285はオメガを一躍世界ブランドに押し上げるきっかけとなった名機30mmキャリバーの一つで、精度・耐久性に優れています。この30mmキャリバーと呼ばれる機械は、1939年から1963年頃まで製造されました。1939年にCal.30(スモールセコンド)をスタートさせ、1941年にCal.260となり以降Cal.269までが26x系となります。一方1940年に追加されたセンターセコンドのキャリバーはCal.30SCT1、Cal.30SCT2を経て、1941年にCal.280となりCal.286まで生産されました。これが28x系ですが、Cal.285は1958年から生産されました。因みにこのキャリバーの内部コードは30SCT5-PC-AM。17石の耐震付き耐磁性型センターセコンドキャリバー(PC=耐震付、AM=耐磁気性)を表します。
1958年ごろ沖縄で購入されたとのことですので、CAl. 285の生産初めの頃のものですね。
また青山時計店さんでメンテナンスをされていたとお聞きしました。青山さんには私の父や叔母が古くからお世話になっており、高校入学の時初めて父に買ってもらった時計も青山時計店さんでした。また私が時計修理の仕事をやってみたいと相談もさせていただきました。偶然ですが、そんな青山さんの手が入った時計を今回手掛けることができた事、とても嬉しく思います。
前回のメンテナンスから時間が経っていましたので、油の減少・劣化による精度の低下が見られました。タイムグラファーによる測定では約1分/日の遅れの状態でした。オーバーホールとして分解、洗浄、注油、組立を行い、その際に秒カナバネの当たりの調整、また秒針の装着が緩めで且つ分針との干渉傾向もあったため、秒針の調整も行いました。ただ秒針袴の調整は限度があり、辛うじて取付が出来た状態ですので、強い種撃には注意が必要かと思います。今後の状態によっては、秒針を交換することも考えた方が良いかもしれません。
外装については、風防のキズ取り、研磨を行いました。キズは大小多く入っていましたが、できる限り除去をいたしました。プラスチック風防ですのでどうしてもキズは入り易いです。仕方がないですが、注意してお使いください。
また何か不具合等がありましたら、何なりとご連絡ください。
ありがとうございました。
お預かり品 | ||
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メーカー/ Maker | オメガ/ OMEGA | |
時計/ Watch Name | シーマスター/ SEAMASTER | |
形式/ Model | 14390-2SC | |
ムーブメント/ Movement | オメガ Cal. 285/ OMEGA Cal. 285 | |
動力/ Power | 手巻き / Hand winding | |
タイプ/ Type | 3針 / 3 Hands |
メンテナンス内容 | ||
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オーバーホール / Overhaul | ¥22,000- | |
風防キズ取り、研磨/ Remove scratches and polish of windshield | ¥2,200- | |
合計(税込) | ¥24,200- |