オーバーホール

アイダブリューシー 1828/ IWC 1828

今回お預かりした時計は、IWC Ref.1828 自動巻3針で、 キャリパーはノンデイトのCal.854Bを搭載したモデルです。1970年代以前に製造されたIWCヴィンテージモデルで、いわゆる「オールドインター」と呼ばれるシンプル、上品でかつ質実剛健な名機ですね。今回の時計はシリアルナンバーから推測すると、1971年前後に製造されたものかと思われます。
Cal.854Bは同社の傑作キャリバー 85系(Cal. 852, 853, 854 など)の一つで、Bはハック機能(秒規制機能)を有している事を表します。またデイト機能を持つと1が加わり8541Bとなりますが、854Bなのでハック機能付ノンデイトとなります。IWCが開発した、爪レバー方式(双方向巻き上げ)で高効率、耐久性の高いペラトン式自動巻きを備えています。
4年ほど前に購入され、そして2年くらい動いていないとのことでした。確かにお預かりした時の状態は不動で、テンプは動くものの針が動かないといった症状でした。オーバーホールで分解しながら確認すると、秒針が装着される”秒カナ”と呼ばれる部品を押さえるバネが破損、またその部分のフタを閉めるネジの1本が折れていました。これが理由で秒針が動かない状態となっていました。部品を交換する必要がありましたが、古いムーブメントのため調達に時間がかかってしまいました。
またリューズの巻真、ケースの一部にサビが多く発生しており、できる限りさび除去を行いました。
何とか部品を調達し組み上げ、稼働テストを行いましたが、テンプの動きが芳しくなかった(振り角が小さい)ため、再度、分解・組み立てを行い細部を確認しました。それでも大きな改善は見られなかったため、ご相談し、新品のゼンマイ(社外品)への交換を行いました。
結果、それでも振り角に大きな変化はありませんでした。他の部分に問題があるということは確かなのですが、それを解決する技術が足りず申し訳ありません。振り角の小ささに起因するのか精度(歩度)の不安定さはありますが、パワーリザーブは40時間以上と実用には足りる状態にはなっています。
魚マークリューズで防水仕様を表していますが、これは現在の防水規格とは別のものですので、非防水と認識いただき水分、汗などは気をつけていただくと不具合が避けられます。一年に一度ほどのクリーニングをお勧めします。
また何かありましたら何なりとご連絡ください。
完調の状態に持って行けず申し訳ありませんでしたが、このような貴重な時計のメンテナンスをさせていただきありがとうございました。
宜しくお願いいたします。

お預かり品
メーカー/ Maker インターナショナル・ウオッチ・カンパニー/ IWC
時計/ Watch Name 
形式/ Model Ref. 1828
ムーブメント/ Movement IWC Cal. 854B
動力/ Power自動巻 / Automatic
タイプ/ Type3針  / 3 Hands
メンテナンス内容
オーバーホール/ Overhaul¥27,500-
部品交換:秒カナ関連/ Parts: Second pinion related¥15,700-
部品交換:ゼンマイ/ Parts: Main spring¥6,200-
サビ取り/ Rust removal¥2,200-
合計(税込)¥51,600-

 

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